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バタフライ Technique

うねりの大きいバタフライを推奨する理由(前編)

※最終更新日 2022年7月27日

Swimming.jpでは「1000mバタフライを泳いでも息が切れない泳ぎ」のフォームを推奨していますが、その理由は一般の方とアスリートの肩の柔らかさの違いにあります。これは、フォームうんぬんではなく根本的なものです。

体の柔らかさの違い

以下の画像を見てください。「大人水泳(6.選手との違いを理解する)」で解説させていただいたものですが、一般の方はAのように腕を天井に真っ直ぐ伸ばす事が出来ない方が多く見受けられます。(特に男性が多く、実は管理人もそうです。)もし天井に向かってAの方が無理に腕を伸ばせば、Bのようにはならず必ず腰が反ってしまいます。

次に画像Aの中級者の方がバタフライを行なった時のアニメーションを見てみましょう。

 

このアニメーションは、中級者(A)の方が理想の泳ぎ(B)に近づくように練習していると仮定しています。まず1コマ目を見てください。中級者は手の平を理想の泳ぎに近い高い位置にグライドしていますが、この時に腰が非常に反っており、大きく負担がかかっています。(アニメーション左上の「1」ボタンをクリックしてください。)

体の位置とストロークのタイミング

次にボディーポジションを見てみましょう。6コマ目から下向きのストロークが始まった時、Aは既に水面近くに上半身があります。このままストロークを続けていくと、Aは12コマ目で体が最高点に達してしまいます。お尻の付近を見ていると、その後は徐々に水中に沈んで行くのが分かると思います。このまま沈み続けると腕を前に戻す事ができないので、14〜19コマ目で上半身を立て始めます。ここでも腰が反ってしまい負担をかけています。(体が沈んで抵抗にもなっています。)

一般の方は特に腕を水面に引きずってしまう方が多いのですが、理想のバタフライに近づけようと無理に体と肩を持ち上げようとするので、腰が余計に反りやすくなります。対してBは17コマ目でボディーポジションが最高点に達するためリカバリーをフィニッシュの反動だけで戻す事ができます。

もしAの方が入水後にそのまま伸び続け、同じタイミングで体を浮き上がらせようとしても、肺に空気が入っているので、勝手に浮き上がってきてしまい、胸の位置をこのポジションに保つ事は難しくなります。(これは、画像(1)のBの真上に腕を伸ばせる方でも同じ事が言えます。)

つまり、いきなり理想の泳ぎを目指しても体の柔らかさによってストロークのタイミングが変わってしまい同じ泳ぎをする事は難しいので、体に負担がかからないような泳ぎをしながら理想の泳ぎに近づけていくために、「1000mバタフライを泳いでも息が切れない泳ぎ」のような大きい泳ぎで体を持ち上げるタイミングと楽にリカバリーする方法を覚えていただく事がSwimming.jpでは重要だと考えています。

Aの方も25mを泳ぐ程度では怪我につながる事は稀だと思われますので、特にこの泳ぎを否定するわけではありません。ただし、距離を多く泳げば腰痛となる危険性もある事を認識した上で行なっていただければと思います。

距離を泳がなければ、練習量が減るので陸上でのストレッチなどで肩を柔らかくする事になると思います。理想の泳ぎに近づくためには色々な方法があると思いますが、Swimming.jpでは水中で水の感覚を感じながら肩を柔らかくしていく方が理想的ではないかと考えており、今後そのテクニックを掲載していきたいと思います。基本的なバタフライのテクニックは以下の「大人水泳」のリンクに掲載しているのでご覧ください。

大人水泳 (1.何のために泳ぎますか?)
大人水泳 (2.前面抵抗を減らす)
大人水泳 (3.重力・浮力を最大限に使う。)
大人水泳 (4.体の動きの連動)
大人水泳 (5.最小限の力で進む)
大人水泳 (6.選手との違いを理解する[速く泳ぐ場合も同様])
大人水泳 (7.水泳というスポーツとは?)

次回は肩の固い人がどういう泳ぎをすればトップスイマーと同じタイミングで体を持ち上げられるかを解説していきたいと思います。

最後にマイケルフェルプス選手の泳ぎを見てください。入水時の手のひらの位置が異常に高い位置にありますよね。こんな泳ぎができるようになりたいものです。