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バタフライ リカバリー「スッ」と腕を抜く方法

前回はいるか飛びを使って、楽に泳ぎながらもスピードを維持する方法を解説しましたが、皆さんの中にも「リカバリーがきつい、上がらない。」また、上がったとしても「数回繰り返すとすぐに疲れてしまう。」という方は多いのではないでしょうか。

そこで、なるべく楽にリカバリーを前に戻す方法について解説していきたいと思います。

1. フィニッシュで肘を先に水面に上げる
2. 実際に泳ぐ際のポイント
3. フィニッシュで後ろに掻き切らない
4.「スッ」抜くために最も大切な体の動き

基本的にリカバリーを楽に戻すためにはフィニッシュ付近のストロークの仕方が重要になってきますが、いるか飛びのスピードが伴っていないと体も持ち上がった状態になりにくいので、前回の記事「グ〜ンと進むうねりを身につける」を参考に、スピードを維持できる状態で今回解説の動作ができるように練習していただければと思います。

1. 肘を先に水面に上げる

リカバリーが楽にできるかどうかは、どれだけフィニッシュの勢いを繋げて行くかにかかっています。

理想のリカバリーを一言でいうと、フィニッシュが終わった瞬間に腕全体が水面上もしくは水面ギリギリの位置に既にある事です。そうすることで、水面から出た腕がフィニッシュの勢いで前に戻って来ます。

もし腰が沈んでいれば腕全体も必ず水中にあるので「腕を水面に持ち上げてから前に戻す」という2つの動作が必要になるので、前に戻すのに時間がかかりますし、それだけ自分の力を使ってリカバリーしなければなりません。

ここで必要になってくるのが、以下のアニメーション18コマ目のようなフィニッシュ時の肘の位置です。これは「水泳 ストロークの軌跡」で解説した両手ストロークですが、バタフライだけではなく、平泳ぎの一掻き一蹴りでも使えます。

 

一掻き一蹴りでバタフライが上手くなる!」でも解説しましたが、一掻きする時のストロークの形を見直してみましょう。一般の方によく見られるのは、腕が最初から最後まで真っ直ぐである事が多いです。そこで、まず肘を水面に出すための練習を陸上でしてみましょう。

以下のアニメーションAのように立位で肘を曲げた状態で前後に腕を振ってみましょう。その腕が後方に行った時に胸を張ってみてください。肘が体よりも後ろ側に出で反動で戻ってきます。(実際の泳ぎではここまで腕は引きません。)

 

次に、アニメーションBのように1度目は肘を引き、2度目は肘を最後まで引かずに体側を超えた辺りで手を横に広げ回します。肘を後ろに引きすぎると肩に負担がかかるので、ご自身が楽だと感じる場所を鏡を見ながら見つけてみましょう。アニメーションB’はBと同じ動きを横から見たものです。

胸が張れていれば必ず肘は体側よりも後方に行くはずです。もし行かない場合には、肘を引く際に脇を少し開くと楽にできると思います。

B、B’の時に腕の力を使う事なく腕振りの勢いだけで天井まで腕を戻す事ができれば、実際に管理人が競泳ルールで1000mバタフライを泳いでいる時のリカバリーと同じ感覚になります。

泳いでいる際は胸を張った時に呼吸をしているので、しっかりと息を吸い込む事で腹筋に力が入りみぞおち付近がひっこむはずです。腹筋に力が入ることで体が大きく反ってしまう事を防ぐと同時に腰が落ちる事も防ぐ事ができます。腰痛予防の為にも胸は張っても腰は反らないように気をつけましょう!

2. 実際に泳ぐ際のポイント

立位での練習は複雑な動きのように感じますがポイントがあります。以下のアニメーションの21コマ目を見ていただければわかる通り、肘が90度に曲がっています。楽に泳ぐ場合にはストロークに力を入れないので、ここまで肘が曲がらなくても構いません。

 

この肘の曲がりを23コマ目まで固定して肘が体側と並行になれば水面に近いところまで上がって来るので、肘から下だけを水面上に上げるだけでよくなります。

 

注意点としては、腕を楽に抜くことが目的になりますので、肘を固定することに意識を向けすぎないようにしましょう。立位での練習でスムーズな動きを習得していただければと思います。

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3. フィニッシュで最後まで掻き切らない

楽にリカバリーする事を考えると、最後までしっかり掻きすぎると腕を前に戻す距離が長くなるので、短いストロークで如何にスピードを落とさないかが重要になります。

そこで大切になってくるのがフィニッシュ付近で外側に広げていくスカーリング技術になります。スカーリングについて少し解説すると、以下のアニメーションのように手に角度をつけてスライドさせることで水を後ろに押して行き推進力を得る動きになります。

 

アニメーションAのように角度をつければ大きな推進力を得られますが力が必要となり、アニメーションBのように角度が浅ければあまり力は必要なく、水を切るような形になったとしてもある程度進む事ができます。

以前、自転車で止まっているところからペダルを漕ぐと大きな力がいるが、スピードが出ているとペダルに力を入れなくてもスピードを保てる事を解説しましたが、前回記事の「グ〜ンと進むうねりを身につける」でスピードを持続することができていれば、バタフライのフィニッシュでアニメーションB程度のスカーリングでも体を進ませる事ができると考えています。またフィニッシュ時、皆さんは第2キックを打たれると思うので、フィニッシュ+キックの勢いも使えます。

管理人は平泳ぎのスタート(1掻き1蹴り)と同じタイミングでキックを打ってからストロークしますが、このタイミングで打ったほうがキャッチで水を掴みやすいのでそうしています。ですが、ほとんどのコーチはフィニッシュと同時にキックというタイミングを教えると思います。人それぞれ合うタイミングがあるので管理人のタイミングが正解であるわけではありません。実際、管理人も速く泳ぐ時にはフィニッシュと同時にキックを打って泳ぎます。

フィニッシュのスカーリングは以下のアニメーションのような形で行います。左右にと言うよりは斜め後ろ側に水面に向かって手を斜めにスライドしていきます。

 

トップの選手の中にストロークを真っ直ぐに掻く選手がいますが、フィニッシュの際は真後ろに押すのではなくスカーリングを使います。その時も「水を押し切る」というよりは「水を横に切る」動作に近いので力を使わずに腕を水面上に抜く事ができ推進力を得ながらその勢いだけを使ってリカバリーする事ができるわけです。

この技術が使えるようになってくると、フィニッシュとリカバリーで腕が疲れなくなるので、飛躍的に泳げる距離を伸ばすことができます。

管理人の場合、4回ドルフィンで浮き上がり、5〜6ストロークで25mを22〜25秒で泳ぎ続けていますが、この時の水の感覚が非常に気持ち良くいつまでも泳いでいたくなります。

是非皆さんも管理人の感じている水の気持ちよさとマッサージ効果を味わって頂きたいと思います。

4. 「スッ」抜くために最も大切な体の動き

競泳ルールで1000m泳いでみた」では今回解説した肘を水面に上げる方法を管理人は使っていません。

腕はほとんど最初から最後まで伸びています。なぜなら体がしっかりと持ち上がっているので肘を曲げる必要がないからです。

ただ、肘を曲げれば、ゆっくりでもストロークに力が伝わりやすいですし、少し体が沈んでいても手を抜きやすくなるので、初級者、中級者の方にぜひ習得してもらいたいストロークの形です。

腕を上手に抜く為には体の動きが重要になってきます。入水し、体重移動後に体を水平にすると、肺の空気の浮力で自然に浮いてきます。スピードに乗りながら体が浮いてくるタイミングを見計らって軽くストロークするだけで自然に泳ぎを繋げて行くことができます。

無理に体を反って次のストロークに向かうのではなく、体を真っ直ぐにして抵抗をなくし、自然に浮き上がるのを待ちましょう。

このタイミングで泳ぐ事はなかなか難しい訳ですが、一度覚える事ができれば数年休んでいても同じ泳ぎができやすくなります。逆に力ずくで泳いでいる方は休んでしまえば筋力が落ちてしまうので、同じ泳ぎはできません。

力ずくの泳ぎより、体重移動、浮力をタイミングよく使ったバタフライは確実に綺麗です。

皆さんにも自然の力をうまく使った綺麗なバタフライを身につけていただければと思います。

Youtubeでも解説させていただいております。

 

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