※最終更新日 2021年7月26日
今回はキャッチアップクロールについて解説して行きたいと思います。
キャッチアップクロールとは「追いつく」「追いかける」という意味ですが、例えば右腕が前に伸びて(グライドして)いる所に、リカバリーしている左腕が追いついてから右腕がストロークを始めます。
ひとくちにキャッチアップクロールといっても「両手を完全に前方で合わせからストロークを始める」キャッチアップと「両手が前方で揃った瞬間にストロークを始める」キャッチアップ、「リカバリーが入水したと同時にストロークを始める」キャッチアップなどがあり、それぞれのレベルや練習目的によってタイミングも違ってきます。
以下のアニメーションAは両手を前方で完全に揃えるキャッチアップスイムですが、これはクロール初心者向けの練習で、いきなり両手を交互に動かしてしまうと腕が曲がりやすくなります。ですので、しっかりと手を前に伸ばして、片手ずつ腕を曲げずにストロークをしてもらうためにおこないます。いわゆる「クロールの形を作る為のキャッチアップ」になります。
ただし、上達後はアニメーションAのような泳ぎでは肩がまだ大きく回っていないので、アニメーションBのように一旦肩を前に出す動作をおこなってからストロークを始めるように練習して行きます。
このアニメーションBでは、泳ぎの中で一旦手を止めてしまっている部分がありますが、更に泳ぎのレベルが上がり、スタートで浮き上がりのスピードが上がった時点で以下のアニメーションDのように滑らかな肩回しをしながらストロークを行う練習をします。管理人は練習中、アニメーションDのようなキャッチアップをしながら泳ぐ事が多いのですが、その理由は次回解説するとして、大人になってから泳ぎを教わった方というのはアニメーションDのように泳いでいたとしても、段々と肩が前に出なくなってしまいがちです。
指導を受けている間というのは、いつも色々な事を考えて泳がなければならず、それにプラスして肩を大きく回す事まで考える事はなかなか難しかったりします。そんな方向けのドリルとして、アニメーションCのようなキャッチアップをおこないます。
この練習の意味は、グライド側、例えば左手が前に伸びている時にリカバリー側の右手が入水した時(20コマ目)でも右肩が後方に残り、「この時でも左肩は最も前に残っているんだよ」と体に覚え込ませるための練習になります。
大人になってから泳ぎを教わった方であれば、1年間は週1回程度25mを5〜6回は行いたいところです。泳ぎ始めてから数年経った方も、この練習をすると「肩が前に出るフォーム」の維持に役立ちますので日頃から取り入れて頂ければと思います。
このように、アニメーションCとDを繰り返す事で、常に手を前に伸ばしている(グライド)時には肩が最も前に出るような泳ぎを定着させていく事ができます。
このアニメーションC,Dは入水と共に腕を動かしますが、手を前に伸ばしているグライド側の手が水面近くに維持できずに沈んでしまうという悩みを持つ方は多いのではないかと思います。
実は管理人も選手コースに入って4年位はなかなか手を前に維持することが難しかったのを覚えています。週6回5000m以上泳いでいてもできずにいましたので、皆さんにも根気よくこのキャッチアップスイムに近づく練習をしていただきたいのですが、早く習得するためのドリルとして「楽に泳ぐための息継ぎのタイミング」でも解説した「呼吸動作の大きい両手回し」をおすすめします。
この練習では長い呼吸が特徴ですが、その呼吸の間、前に伸びている手をしっかりと伸ばすことを意識してみましょう。この時、無理に前に伸ばすのではなく、ストレッチをするように楽に前に伸ばします。何度も行う事で肩も一緒に柔らかくするようにイメージしながら行って頂ければと思います。
以下の映像ではキャッチアップをイメージしておらず、スイムの意識で行っているので、手が前で揃っていませんが、管理人的にはリラックスして長く泳ぎたい方には「この泳ぎもありだな」という思いもあります。プールでよく見かける、腕が前に伸びないクロールよりも、ゆったりと優雅に泳ぐこの泳ぎの方が十分に綺麗ですし呼吸も楽です。
この「呼吸動作の大きい両手回し」は、鼻から水が入りやすいですが、管理人もこの映像でかなりの回数入りそうになっていまして、数回は実際に痛い目にあっています。笑
ただ、練習を重ねると、水が入りそうになった瞬間に鼻から息を吐き出すこともできるようになってきます。「楽に泳ぐための息継ぎの量」で解説したように「肺をパンパンにするほど息を吸って泳いでいる」事が前提になりますので、呼吸の意識も大切にしながら綺麗なキャッチアップスイムを目指して練習していきましょう!!