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平泳ぎ 世界チャンピオンの泳ぎから見る初級者・中級者の泳ぎ方

皆さんが世界チャンピオンの泳ぎを見る機会というのはオリンピックなどの世界大会で最もスピードを出して泳いでいる場面ですが、実際に練習の中でトップスピードで泳ぐのはシーズンによっても違いますが、多くても平均1〜2割程度です。

練習中、全てをトップスピードで泳げば疲労が大きく休み時間を長くとならなければなりません。もし100mのベストタイムが1分00秒の方が、5分サークル(4分休憩)で4000m泳ごうとすれば、それだけで3時間20分かかります。アップとダウンを含めればもっと長くなりますし、通常の選手の練習は2時間程度で5000m以上泳ぐ訳ですから、ある程度スピードを抑えて反復練習しているというのが分かります。

よくプールでいきなりダッシュされる方を拝見しますが、そんな風に泳いだりはしませんので、アップはゆっくり関節の可動域が徐々に広がるように練習していきましょう。

今回は初級〜中級者向けに、世界チャンピオンがゆったり泳ぐ3D(イージースイム)も作成致しました。最後の項目で世界チャンピオンの泳ぎを日頃の練習でどのようにイメージし活かして行くのがいいのかを含め、解説させていただきたいと思います。

全てを一気にご覧になると、要点が分かりにくいかもしれませんが、「ストローク」「キック」「タイミング」「イージースイム」と一つ一つが要点となっており、全てが連動しているので1つの記事にまとめさせていただきました。

何度もご覧いただいて、トップスイマーの泳ぎをご自身の泳ぎに還元していただければと思います。


1. 泳ぎの特徴


この選手の泳ぎの特徴はストロークと体幹の使い方にあると感じています。彼のYoutubeチャンネルを見ると分かりますが、上半身は格闘家のように鍛え上げられています。

ストロークは腕が伸びていて深い位置まで掻いていたり、身体を前に倒すスピードが他の選手に比べて速いです。これをそのまま一般の方がやってしまうと、負担が大きく怪我をしやすくなる場合もあります。


2. 平泳ぎ ストローク


2-1. ストロークの特徴


ストローク前半で腕が他の選手よりも一直線に伸びています。4〜6コマを見ると、若干肘は立っていますがここでも意外に真っ直ぐであることがわかります。

7〜8コマ目で外側に開いた手が内側に向かっていく「インスイープ」に変わり、およそ2コマ、0.13秒という時間で水を掻き込んでいるわけですが、この動作がほぼスカーリングであるように見えます。

この3Dを作成する際に参考にした映像を確認すると、カメラは等速で動いていると思うのですが、この7〜8コマ目の深い位置から胸の方にむかって手を引き寄せている時に「グッ」と前に進んでいるのがわかります。

手を前に戻すリカバリー動作に入る時には、8〜10コマ目を見ると、この時点でスカーリングが身体を倒しながら前に進む方向に変わります。

この部分が他の選手と大きく違い、体幹の強さも相まって身体を倒す時間が短くなるようなストロークをしています。


2-2. 初級〜中級者の注意点


4〜6コマ目のような腕を真っ直ぐにした動きを一般の方がやってしまうと、肘への負担が大きいですし力みやすく、怪我のしやすい動作になってしまいます。

分かりやすく例えると、筋力のない方がいきなり腕立て伏せを3本指でやってしまっているのと一緒で、それでは泳ぎを継続していく事も難しいので、自然な形で力が入るハイエルボーするようにしましょう。

平泳ぎのストロークについては、以下で詳細解説させていただいております。

>> 次ページ 「平泳ぎ キックについて」

3. 平泳ぎ キックについて


3-1. キックの特徴


以下のアニメーションはAが世界チャンピオン、Bが上級者の泳ぎ方になります。3Dでは筋肉まで表現できませんが、12〜14コマ目に映像では打ち下ろした際に筋肉が「ブルン!」と動くので、大きい円運動というよりは通常よりも直線的な軌跡でキックをしています。

 

14コマ目で打ち下ろされた時、足が多少開き気味で、足を閉じるように教えられてきた管理人には最初は理解が難しかったですが、15〜16コマ目で足が一瞬閉じ、バタフライのアップキック(水面に向かうキック)のように足が水面に上がって行きます。

16コマ目が蹴り終わりだとすると、その後は膝がリラックスして曲がっています。この時にはまた足の間が少し離れているので、リラックスしている事がわかります。


管理人を含め、普通の選手達は足をしっかり伸ばして、抵抗を受けないようにしています。もちろん足が伸びればいいので、大きな力は必要ありませんが、足をしっかり伸ばし、揃えるという事が一般的であるように思います。

ただ、この選手の太ももは非常に太く、足を閉じることが難しいのかもしれません。

3-2. 初級〜中級者の注意点


もし初級〜中級者の方がこのキックを真似ようとすると、中途半端なキックになり、足の指先が触れ合うまでしっかりキックできなくなってしまう可能性が高いです。

基本はしっかり最後までキックし足の指先が触れるようになる事です。ストロークもそうですが、泳ぎの技術が高い人は、練習量が非常に多いので力の緩急が自由自在で、しっかり蹴ってもリラックスできるようになって行くわけです。

娘のキックも最近までウェッジキックで、ウィップぽくなってきたのは最近ですし、膝への負担を考えるとあまり無理はさせたくないので、今はキックの形よりも毎日のストレッチを重要視しています。(管理人が言わないとやりませんが。笑)

平泳ぎのキック、ウェッジ、ウィップについては以下で詳細解説させていただいております。


4. 平泳ぎ ストロークとキックのタイミング


4-1. 身体全体を一直線に持ち上げる


以下のアニメーションAを見るとわかりますが、通常はストロークで身体を持ち上げると腰は沈んでしまいます(6〜10コマ目)。この沈んだ状態では、身体全体にぶつかる水が多いので大きな抵抗を受けてしまいます。

 

世界チャンピオン(アニメーションB)は4〜9コマ目を見ると身体を支える棒などもないにも関わらず、水面近くまで持ち上げます。これは、体幹をしっかりと一本の棒にし、ストロークで身体全体を持ち上げているからできることで、腹筋に力を入れた状態で泳いでいる何よりの証拠です。

 

腰の位置が水面近くまで上がってくると、そこからキックを打ち下ろせるので、体重移動がやりやすくなります。また、身体が水面に出ている部分が多ければ多いほど、前に進んでいく際に水の抵抗を受けずに済みますので、その分前に進んで行くことができます。

4-2. 手を前に戻しながら素早く身体を倒す


手を前に戻す動作をリカバリーと言いますが、このリカバリーが他の選手よりも水面ギリギリを通っていきます。トップスイマーを見ていると、指先が水面に出てくる選手が多いのですが、この選手は水中を戻して行きます。

先程2-1でも解説しましたが、8〜10コマ目で前に進みながらスカーリングを使って身体を倒そうとしています。11コマ目で身体が急激に倒れて行くのはそのためであると管理人は考えています。

また、身体を一直線に持ち上げた事で、前のめりの姿勢になっているので、スカーリングと相まって素早く身体を倒す事ができています。

素早く身体を倒すことで、更に腰が浮いてきます。以前、運動会の綱引きで中心を合わせる際に綱にうねりを与えるとそのうねりが綱の端まで伝わって行く事を解説しました。

その原理と同様で、身体が一瞬浮いたような感覚になります。管理人も毎回感じながら泳いでいるのですが、スカーリングの熟練度が要求される部分になりますし、リカバリーしながら腰を引くような動作も加わる(10〜11コマ目)ので、世界大会を見ていると選手の背中がうねって見えるのがわかると思います。

 

4-3. 初級〜中級者の注意点


平泳ぎは水平になった状態から身体を持ち上げます。水平=ストリームラインを作っている時には息を吐いている状態です。

以前、水泳中は息を大きく吸うことで腹筋に力が入りやすい事を解説しましたが、プールを泳がれている一般の方はこのストリームライン時に身体が反っていて、腹筋に力が入っていない状態である事が多いです。

ちなみに管理人は、肺に空気がパンパンに入っている状態で息を吐き切っているので、息を吐いている時も腹筋に力が入っています。

皆さんは平泳ぎ25mを何ストロークしているでしょうか。基本的に初級者の方は10ストローク以上している場合が多いです。娘の場合、平泳ぎを泳げるようになって1ヶ月後は17ストロークしていたので、100mで68回、もし1000m練習した場合、約700回も身体を起こす事になるわけです。

私たちは、日常でこれ程身体を起こしたりしませんので、腹筋に力が入っていない状態から身体を持ち上げようとすれば、腰に負担が掛かってしまうのは当然です。

力を入れるタイミングは手が横に広がった後、内側に向かって手が動き始めるインスイープ(7〜8コマ目)の時=身体を起こし始めるタイミングになるので、初級〜中級者の方程しっかりと意識してほしい部分になります。

50歳になろうとしている管理人が水泳で腹筋を使う癖をつけた事で日常生活でも姿勢良くできるようになったり、1ヶ月に1度の練習で5000m泳いでも腰痛にならないのは、この「腹筋の意識」を徹底しているからこそだと確信しています。

腹筋の意識についてはバタフライの項目ですが、以下で詳しく解説しています。

>> 次ページ 「平泳ぎ 世界チャンピオンのイージースイムを目指す!」

5. 平泳ぎ 世界チャンピオンのイージースイムを目指す!


5-1. トップスピードとの違い


初めにお話しした通り、トップスイマーはいつも速く泳いでいるわけではありません。ですので、泳ぎ自体も速く泳ぐ時とは違っていて、ゆったり泳いでいる時には必ず潜ります。


速く泳いでいればスピードがあるので楽に持ち上がっても、練習中のスピードで同じように浅く伸びてしまったら、すぐに身体全体が浮いてしまい、ストロークの力だけで持ち上げなければならなくなってしまいます。

 

アニメAは23コマ目で一旦身体が水面で止まっていますが、アニメBでは浮力を使ってスムーズに身体を持ち上げています。一旦止まった動きを再度動かすには大きな力がいるので、結果、アニメAの9〜13コマ目は身体が沈んでおり、前からの抵抗を大きく受けてしまいます。腰が沈んでいるので体重移動もできません。

ですから選手は、速く泳いでいる時と同じように身体を持ち上げられる浮力が得られるように調整し、選手自身が好む深さまで潜って行きます。

また、練習中は一般の方のように疲れたらすぐにプールから上がれるわけではありませんし、自由に休憩が取れるわけでもありません。

選手になりたての頃は練習メニューをこなすだけでも大変ですが、それが「休まず続けられる泳ぎにする」事にも繋がっていて、「力みのない効率の良い泳ぎを作り上げて行く。」わけです。

体重移動については、バタフライの項目になりますが、以下で原理を解説しています。

>> 次ページ 「イージースイムのポイント」

5-2. イージースイムのポイント


初級〜中級者の方がここで気をつけていただきたいポイントは「ストリームライン」と「スカーリング」になります。

この泳ぎでは、ストリームラインの時間が最も長くなり、ストローク、キックのタイミングや身体を持ち上げる倒すという時間は、力を抜いている分多少遅くなる程度でほとんど変わりません。

以下のアニメーションAはイージースイム、アニメBはレーススピードの泳ぎを1コマ目に合わせて再生しています。アニメAは18コマでキックが蹴り終わっているので、レーススピードの時と2コマ分(約0.12秒)しか変わっていません。

 

以下の動画は娘が平泳ぎを泳げるようになって1年後の泳ぎになりますが、キック後の伸びがなく、すぐにストロークを開始してしまっています。

https://www.swimming.jp/movies/breast/c_br_2011_s.mp4

ゆったり泳ぐ時にも変わらず、同じタイミングでストローク、キックを行ってしまっていました。一般の方もイージースイムを行うと、同じように全てが平均的にゆっくりになりがちで、メリハリがなくなってしまうので、呼吸も長くなって身体が沈みやすくなり抵抗も大きくなります。

反復練習の際はストリームライン以外がトップスピードで泳ぐ時と同じタイミングになるように泳ぎます。逆に言えば、ストリームラインでしっかり休む事が重要であるという事です。

初めのうちはストリームラインの形を作って、腕を前に伸ばし続けるのも疲労が蓄積しますが、それを継続し続ける事で徐々に腕を前に伸ばし続ける事ができるようになって行きます。

娘が泳げるようになって2年半後、選手登録直前の泳ぎを見ていただくと、ストリームラインを長くとり、手を広げる所から徐々に掻き込みに向かって速度が増しています。

https://www.swimming.jp/movies/breast/c_br_2106_s.mp4

この映像を比べてみると分かりますが、ストロークの速度のメリハリ、体が起き上がっている時間が全く違っているのがお分かりになると思います。

https://www.swimming.jp/movies/breast/c_br_20_21_s.mp4

左側の泳ぎでは25mを6ストロークで25〜27秒で泳いでいますが、30秒以上かかってしまうとなかなかここまで身体を持ち上げる事は難しくなりますので、ゆったり泳いで30秒を切れるようになるまでは、前回、前々回の練習を繰り返し練習していただければと思います。

娘は右側の泳ぎから更に1年かかってやっと左側の泳ぎになっているので、キック後にしっかり伸びてストリームラインを取る事、ストロークのメリハリをつける事を意識し続けながら、左側の泳ぎに近づけていっていただければと思います。

以上の長々と解説させていただきましたが、ご自身の目標が速く泳ぐ事であっても、綺麗に泳ぐことであっても、最終的にはトップスイマーのイージースイムを目指して行くべきであると管理人は考えています。

30秒を切った後、娘がおこなった練習方法については次回解説させていただきたいと思っております。

Youtubeでも解説させていただいております。

 

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