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Swimming.jp 平泳ぎ Technique

平泳ぎの泳ぎ方 泳げるようになった後が大事(初級者向け)

※最終更新日 2022年6月2日

前回は4回の練習で平泳ぎが泳げるようになるまでを解説しましたが、そこから選手のような綺麗な泳ぎを目指すためには、泳ぎに合わせた段階的な練習が必要になってきます。

この記事では、管理人がこれまで30年以上プールを見てきた中での一般的な泳ぎ方の改善方法を解説していきたいと思います。

記事の最後に綺麗に泳ぐために最も大切なポイントを解説していますので、ぜひ最後までご覧いただければと思います。


1. 平泳ぎ キック編


1-1. キックを真後ろに蹴らない


しっかりと足の裏でキックができるようになりましたら、ビート板を持ってキックの練習をする際に下向きのキックを心掛けてみましょう。キックを打った後に「お尻がす〜っと上がってくる」ような形です。

人間は体が反りやすいので、「お尻を浮かす=体をくの字にする」事ができるようになると、腹筋に力が入りやすくなり、綺麗なストリームラインを保つ事ができやすくなります。これは選手でもできていない人がいまして、詳しくは別の機会に解説しようと思っていますが、蹴り終わった後にドルフィンキックが入ってしまい、大会で失格になってしまう原因にもなります。

大会に出ないという方でも、綺麗な泳ぎをする上で大切な部分になりますので、気をつけていただきたいと思います。

 

1-2. 足を広げすぎない


次に、足を引きつける際にあまり股関節を広げすぎないようにします。最も効果が高い練習として、背面キックがあります。

背面キックはそのまま踵をお尻側に引きつければいいので、膝が水面に出過ぎないようにし、無理のないように踵が円を描くよう、外側に蹴り出しましょう。頭をぶつけないように、5mの旗が見えたところで立ち上がっていただければと思います。

 

ただ、仰向けで水に浮くのが怖いという方や背面キックだと足の裏で蹴る事が難しいという方もいらっしゃると思います。そういう方は無理をせずビート板を持ったキックで構いませんので、肩幅より少し広い程度に足が引き付けられるように気をつけていただければと思います。


2. 平泳ぎ ストローク編


2-1. 手を後ろまで掻きすぎない


平泳ぎが泳げるようになった後で、練習を重ねていると気を付けていたことができなくなってきます。その代表的なものが手の掻き(ストローク)が大きくなってしまう所です。どうしても、疲れてきたり泳ぐ回数が増えてくると手が大きく開いてお腹の辺りまで掻くようになってしまうので、練習毎に肘が肩のラインを越えないようにストロークするように気をつけましょう。


ストロークを小さくするのはある程度分かりやすく簡単に直る部分になりますが、「簡単に直る部分こそ、すぐに元に戻りやすい」ので、その点に気をつけながら練習していただければと思います。

2-2. 呼吸で止まらない


以下の画像3の時が体が1番立っている状態で、下半身が沈みやすくなる事は前回の記事で解説しました。できるだけ体を素早く倒して水平になってからキックを打ってほしいのですが、呼吸する場所でもあるために疲れてくるとこの部分で時間を使ってしまいます。

平泳ぎの掻き方(ストロークの仕方)

そうすると、手が前に伸びる前にキックを始めてしまい、キックを打ってから体が水平に戻るという1番抵抗が大きく進まないタイミングになってしまいます。タイミングが遅くなれば遅くなるほど抵抗が大きくなりますので、できるだけ早く体を倒します。

体を倒すコツは体を持ち上げすぎない事です。人間はつまづくと前のめりになります。画像3の位置で前のめりになるようなイメージでストロークをおこなっていただければ、前に手を出しやすくなります。次回詳しく解説しますが、簡単に言うと「体全体を持ち上げるイメージ」で管理人は泳いでいます。

3. 平泳ぎ キックとストロークのタイミング


前回記事の3-2で「手を広げた(掻き始めた)と同時に頭を上げるのは良くない」と解説しました。これも疲れてくると呼吸が早くしたくなるので、なかなか我慢できずにすぐに頭を上げるようになってしまいます。

手を広げた後、「体を持ち上げると同時に足を引きつけるタイミング」は、平泳ぎができやすい初心者向けのタイミングで、レベルが上がってくると足を引く速度も上がってくるので、タイミングはもっと後になります。

理想としては以下のアニメーションのように、体が水平になり手が前にまっすぐ伸びてからキックをしたいので(16コマ目)、それまでにストロークを終わらせていなければなりません。足が伸びている状態から足を引きつけるまでの時間はかなり短いので、なるべくならストロークが終わるタイミングで足を引いた方が理想のタイミングに近くなります。


つまり、初級者では以下のアニメーションのように「最低限このタイミングで行なってください!」と言うものなので、これよりも速く足を引きつけないように気をつけます。


以下のアニメーションAのように手を開くと同時に足を引き付ける方が本当に多いので、疲れても手が開くまで待ってから体を持ち上げ、足を引きつけるようにしましょう!

 

4. 平泳ぎ 泳ぎを維持する大変さと維持する方法


ここまで記事を読んでいただいて、内容的には前回の記事のほぼ復習になっているのがお分かりになるかと思います。ただ、「せっかくできるようになった泳ぎを維持するのがどれだけ大変であるか」という事を知っていただく良い機会だと思っています。

早く綺麗に泳げるようになるためには?

[ 綺麗に泳ぐために気を付けること ]

管理人が30年間指導をしてきて1番感じる事は、1度の指導で修正した部分を「誰もが」長く保つ事ができないという所です。
たとえ毎日、毎回同じように気を付けていたとしても、ご自身で泳ぎを見る事ができないので以前の泳ぎにだんだんと戻ってしまいます。
そこで、管理人の場合、練習の最後に「もう一度先程の注意点に気を付けてみましょう」と泳いでいただく事が多いです。
それでも数分前にできていたことができない事は多いです。ただ、管理人の指導に慣れてくると(後で必ずもう一度やるとわかってくると)、意識が違ってくるのか最後まで同じ泳ぎができるようになっていきます。

[ 泳ぎを定着させる ]

今現在、情報が世の中に溢れ、泳ぎについての技術を知る事は難しく無くなっていますが、その技術を身につけるだけの泳力がないまま練習をされる方が多いように感じています。
例えば、クロールの2軸泳法が速いと言われていますが、それは体が水面上に浮くくらいスピードがある人がやって初めて効果があるもので、25mを30秒かかる人がやってしまうと体が沈んでいるので、肩全体で水を押してしまうので、むしろ更に遅くなってしまいます。
もし、教えて頂いているコーチがいるようでしたら、「この部分の注意を1番受けているな」と感じる部分を注意を受けなくなるまで気をつけて練習しましょう。
コーチは大人に指導する場合に同じ場所を注意しなければならない場面が続くと、気を使って言わなくなる場合があります。管理人的にはこれはコーチとして良くない事だと思っているので、何度も言わせていただいています。
遠慮がちなコーチへの対処方法としては、ご自分からもコーチに積極的に「以前指摘された事はできているのか?」聞くようにして、曖昧な返事をされましたら「こういう基礎ができていなかったら、選手のような技術(綺麗な泳ぎ)を習得できないと思うのでしっかり指摘してください。」と伝える事も重要だと思います。
他にも気をつけたい部分はたくさんありますが、「できるだけ早く綺麗に泳げるようになる方法」で掘り下げて解説しておりますので、そちらもご覧いただければと思います。

今回の記事、2-1は「手を後ろまで掻き過ぎない」という課題でしたが、管理人の娘は2021年1月まで「手が胸の位置でフィニッシュするので顔の前で。」と注意されています。本来は顎の前と教えるのですが、上がらないので極端な教え方をしていて、実に1年10ヶ月も繰り返し同じ指摘を受けていたことになります。

今の泳ぎを見て当時の事を考えると、スカーリングが上手くなり始めて体が楽に持ち上がるようになり、やっと顎の前まで手が上がるようになったように思います。


「もっとスカーリングの練習をしておけば。。。」と一瞬考えたのですが、泳ぎの中で使えなければ意味がないので、泳力が上がり流れの中でスカーリングもできるようになったのでよかったのかなと考え直しました。

スカーリングについては、全ての種目で使えて簡単に覚えられる「実践的なスカーリング技術を習得する」で詳細解説していますので、ご覧いただければと思います。

娘は2019年は週3回スイミングに通っていましたが、テストが10mだったので12.5m以上泳いだ事もなく1時間で泳ぐ距離も500m以下、9月からやっと25m泳げるようになりましたが2021年1月まで1日の練習量は1000m程度です。

そう考えると皆さんが泳ぐ距離とさほど変わりはないと思います。コーチから同じ場所を直すように指摘を受けても、「初級者の段階では、一生懸命練習しても習得に数年かかる技術もある。」と考えて頂く事が重要なポイントになりますので、根気よく練習して行っていただければと思います!

Youtubeでも解説させていただいております。