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水泳 飛び込みの簡単な原理

※最終更新日 2022年12月27日

最近、子供の大会映像を見る事が増えたのですが、綺麗に飛び込めていない子が多い事に気づきました。よくよく考えてみると、これまでスタートの原理について詳しく解説されている書籍や動画がないように思います。(私も全て見られているわけではないですが。)

そこで今回は、飛び込みの原理を簡単に理解していただきたくための記事を作成いたしました。本来、両足を揃えたスタート練習から行いますが、現代ではスタート台にバックプレートがあり、足を前後に開いて構えるのが一般的になっていますので、そちらを基本として解説させていただきたいと思います。

次回からは実際に娘が選手登録までにやってきた練習と過程を映像を交えて解説させていただきたいと思っております。

尚、選手やマスターズ大会に出ている方で「スイミングでの飛び込み練習が少ない」と感じている方も多いかと思います。日頃の練習に注力すると、飛び込み練習に時間を割くのが難しい面もあるので、ある程度自主練は必要になってくると思います。

飛び込み練習の際にコーチの話に集中し、自分に何が足りないかをしっかりと聞いておき自主練に活かして行くのが上達の近道です。

※注意 飛び込み練習を行う際には必ず周囲の状況を確認し、安全に行なって頂くようお願いいたします。特に身長が高くなればなるほどプールの底に到達する時間が短くなるので、2m以上の水深があるプールで練習してください。

1. 飛び込みの理想の形とは?

結論として、飛び込みの理想の形は動作の途中で以下の画像の形を作る事ができれば間違いありません。逆に言えば、飛び込みが苦手な方の大半はこれができていないので、うまく飛ぶことができません。

正確には腕は含まれず、上半身と前足のスネ部分が水平に近くなり、膝が90度に曲がっている事が重要になります。遠くに飛び出すためにも必要になる形になるので、飛距離の前にこの形が作れるように練習して行きます。

2. なぜこの飛び込みの形がいいのか


2-1. 足の蹴る方向

飛び込みは「垂直跳び」の要領で行います。皆さんの中には前に飛ぶので「後ろに蹴る」イメージを持っている方もいらっしゃると思います。これは空中で膝が曲がる原因になりますし、人間は後ろに蹴る動作を日常で全くしないので、そのような筋力は無く遠くに飛ぶ事はできません。

2-2. 飛び込みの力学

では、実際に理想の飛び込みの際にどのような力が働いているのかを詳しく見て行きましょう。

構えについては腰が高い形で構えます。しっかりと足の指でスタート台を掴みましょう。スタートの号砲と共に上半身を起こしますが、この時先に顔が前を向きます(34コマ目)。顔が前を向く動作により少し腰が落ち、膝が構えの時よりも若干曲がります。上半身が前に伸びた時、体全体が徐々に前に傾いていくので理想の形が自然に作られます。

この姿勢で分かるのは、体を起こした時に構えよりも膝が曲がっている状態であるという事です。ここがポイントで、陸上で垂直跳びをする時一旦しゃがみ込んでからジャンプする要領と同じになります。

35コマ目で手の指先が最高点に達した時に「陸上で垂直にジャンプする」要領で斜め上方に飛び出します。足を蹴り出す間にも上半身は重力で落下して行き、足がスタート台から離れた時には頭の方が足よりも若干低い位置にあります(38コマ目)。

以下の動画は管理人の娘が、腕振りからスタートする事で体をしっかり起こしてから飛び込む練習をしている動画です。ある程度スタートの技術が上がった所で体を起こす癖をつけさせる練習で、綺麗な飛び込みができているのがわかると思います。

 

顔が前を向いて上半身が起きて水平になり、水平になった時には顔が下を向き始め、斜め上方向に足を蹴り出すと、上半身は下方向に向かっていくので頭から入水する事ができます。

2-3. バックプレートを使ったスタート

現在のスタート台の後ろ側についているバックプレートですが、管理人的にこれが付くまでは足を前後に開くよりも両足を揃えたスタートの方が速いと思っていました。

垂直跳びの要領で飛ぶのですから、足を前後に開くと大きい力は発揮できないと感じていたからです。ただ、バックプレートが付いた事で、管理人的には3つの利点があると考えています。

  • ・前後に足を開く事でバランスが取りやすく体がふらつかない。
  • ・スタート時に体を起こしやすく、理想の形が取りやすい。
  • ・しっかりと両足でスタート台を蹴り出せる。

1つ目は実際に練習された皆さんであればお分かりになると思います。体がふらつかず安定感があります。2つ目は片足を引くことで腰の位置が後方に下がるので、体が起きやすくなり理想の形を素早く作ることができます。3つ目はバックプレートがある事で足が滑らずにしっかりと両足で蹴り出す事が可能になるところです。

2-4. 前後に開く足の幅に気をつける

バックプレートは個人の好みに合わせて前後に動かすことができるわけですが、筋力のない女性や子供、管理人のようなメタボ体型の方は「一番前」に設置することをオススメします。

何度も言いますが「垂直跳びの要領」で飛ぶわけですから、できるだけ足は狭い方が力を発揮できます。一番後ろに設置してしまうと、管理人のように体重が重いことで片足にかかる負担が増えてしまい、力強く蹴ることができず遠くに飛ぶ事もできません。それだけでなく、何度か練習するだけでスタート台に掛けた前足の指が痛くなってしまいます。

 

筋力があり、片足での飛び込みに絶対の自信がある方以外は、前後の足の開きを小さくしてしっかりと両足で飛び込みましょう。

3. 飛び込みの悪い例

飛び込みがうまくできない原因として、スタートの号砲と同時に足が動いて(伸びて)しまう事が挙げられます。

スタートの構えから上半身・下半身を同時に伸ばしてしまうと、空中で体が一直線になります。この状態になると、足や腰の位置を上げる動作をプラスすることができなくなってしまうので、その姿勢のまま重力で体が水面に落ちて行き「お腹を打ってしまう」原因となってしまいます。

もし、上半身・下半身を同時に伸ばしても「お腹を打たない方法」を模索するとするなら、高く飛んだ後に体をくの字に曲げて手と足から着水するか、一直線に下向きに飛び込み、上半身が斜めに入水するようにするしかありません。

手と足から飛び込めば当然抵抗になってしまいますし、一直線に下向きに飛び込むと落下速度が活かせないので、高く綺麗な飛び込みよりも入水後の速度が遅くなります。

飛び込みの原理さえわかってしまえば、「この練習が効果的だ」とひらめく方も多いかと思いますので、選手でもマスターズでも綺麗な飛び込みができる方が増えると嬉しく思います。

次回は飛び込みの基礎から解説していきたいと思います。

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Youtubeでも解説させていただいております。