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Swimming.jp 平泳ぎ Technique

平泳ぎ 生涯綺麗で楽な泳ぎ方を目指すコツ

※最終更新日 2022年12月29日

前回は平泳ぎを泳げるようになった後に、指導者から指摘されている部分があるのであれば、指摘されなくなるまでその部分を継続して練習される事が重要である事を解説させていただきました。

平泳ぎの泳ぎ方 泳げるようになった後が大事」から2ヶ月程経っていますが、コツコツと練習していただいていますでしょうか。今回は『水の力で生涯変わらないフォームを作り出す!』ということで、ある程度泳力がついた方向けに、娘が綺麗な泳ぎを目指すためにどんなドリル練習をしてきたかを解説させていただきたいと思います。目安としては「平泳ぎで25mを続けて10回以上泳いでもまだまだ練習できる方」向けの内容です。

1. 練習をする上での前提条件と目標

皆さんは娘が綺麗な泳ぎを身につけるために「いろいろなドリルをやったのでは?」と思われるかもしれませんが、管理人の中で「これをやれば上手くなる」というドリルは決まっていて、実際に行ったドリルは2つだけになります。

今回紹介するドリルは「スカーリング」と「体重移動」の上達を目標にしています。練習を行う前提条件として、平泳ぎを泳ぐ際にキック後の姿勢が水平になっているかが重要です。できれば背中が水面から20cm以内でストリームラインが取れるようになるまで「平泳ぎの泳ぎ方(初心者・初級者向け)」「平泳ぎの泳ぎ方 泳げるようになった後が大事(初級者向け)」を参考に練習しましょう。

足が沈んだままですと「うねる」ことが難しいですし、足が沈むということはキックの力が弱くスピードも足りていないので、まずは25mを30秒以内でしっかり水平に泳げるようになりましょう。

2. スカーリングの効果

皆さんもスカーリングという言葉を聞いたことはあると思いますが、このスカーリングをうまく使えると、体を楽に持ち上げられたり楽に進む事ができます。

ただ、スカーリングは速度が肝心です。ゆっくりスカーリングを行ってもあまり推進力にならないので、体を「持ち上げる」「進ませる」ポイントで素早く行う事が重要となってきます。

このアニメーションを見るとお分かりになると思いますが、速度が遅い場合矢印(推進力)は小さい状態ですが、速度が速くなると矢印は大きくなります。

アニメーションAとBを比較すると、Bの方が角度が浅いので楽に行えます。水を手がスライドしながら前に進んで行けるのでスカーリングを始めて意識する段階ではこちらのスカーリングをおすすめ致します。Aのスカーリングは筋力が必要になるので、週3回3000m以上泳いでいる方で大会を目標に頑張っている方でないと、肘に痛みが出る可能性があるので注意しましょう。

3. ドルブレ(ドル平)

ドリルの1つ目はドルブレといい、手は平泳ぎで足がドルフィンキックになります。このドリルでは、体を滑らかにうねらせるのが一番の目的になります。ある程度深く潜っても構いませんので、足よりも上半身が沈み込むようになるまで練習して行きます。

もし「バタフライができない」という方でも、ドルフィンキックは体の使い方の練習になるので、まずそちらをトライしてみてください。他の記事でも書きましたが、できなくても継続することが重要ですので、「ドルフィンキックの泳ぎ方」をみていただいて習得していただければと思います。

ドルフィンキックの泳ぎ方

3-1. 綺麗なうねりを身につける

以下の動画は娘が平泳ぎを泳げるようになって1年後のドルブレになります。キックの回数が3回ですが、特に回数は問題ではなく滑らかなうねりでタイミングよくできている事が大切になるので、この泳ぎを目指して行きましょう。

 

注意点としては、体が倒れる前にキックをしてしまうと以下のアニメーションAの16コマ目ように体全体に水が当たって抵抗になりますし、アニメーションBのように体が完全に倒れてからキックを打っても倒した勢いを活かせていません。

経験として、平泳ぎができるようになってすぐにドルブレを練習させてみた時に、ある程度うねりは作れてもアニメAのようになってしまい、キックを打ち終わってから水平になってしまっていました。うねりを意識すると腹筋を使うので、15m程度で疲れてしまい、それ以降はうねりが全く無くなってしまうので、10m程度を繰り返し練習しておりました。

また、画像Bのように掻き(ストローク)が大きく、胸の前まで掻いてしまい手を前に戻すまで時間がかかっていたので、この時はストロークを小さくする方を優先していました。そうするとインスイープの距離が短くなるのでスカーリングが上達しにくいという状態が続きました。

「スイムがある程度綺麗にできて30秒以内で泳げるようになってからドルブレ(ドリル)を練習した方がいい」というのはこのためで、画像Aのように腕が肩のラインを超えない綺麗なストロークができると横に広くできるので、インスイープの距離が伸びてスカーリングも上達します。

ただ、腹筋を意識して使うという意味では、遊びとして楽しみながら体の動きを覚えたり、娘の場合はバタフライも同時に練習していたので、「体重移動で潜る」練習としても効果があったと感じています。悪いタイミングの癖がつかない程度の短時間の練習であればいいのかなと思います。

最終的には以下の動画のようになるべく少ないストローク数で25mを泳げるように頑張りましょう!

 

尚、ストロークの名称、アウトスイープやインスイープについては「平泳ぎのストロークの仕方」で解説しているのでご覧いただければと思います。

4. 2キック1ブレス(2キック1ストローク)

ドルブレがタイミングよくできるようになりましたら、2つ目のドリルとして2キック1ブレスを練習して行きましょう。

 

グライド動作から手を広げて行きますが、少し広目を意識してみましょう。広めにする事でインスイープの距離が長くなります。ここで気をつけていただきたいのは、手を広げるまでは体を起こさない事です。スカーリングだけでは体を持ち上げる事は難しいので、「スカーリング」+「体を起こす」を同時に行います。

この練習では、水中で1キックする分深く沈んでいるので、浮力を使って体を持ち上げる事もできます。そういう意味では「ドルブレ」と変わりありませんが、平泳ぎのキックをするわけですから、よりスイムに近い形で泳ぐ事ができます。

また、これは管理人の主観ですが、ドルフィンキックよりも平泳ぎの方が1回のキックで進む距離が長く、体重移動で気持ちよく進んで行けるイメージがあります。腰を上げる動きが加わるとよりスピードが増し、1ストロークで進む距離が長くなって行きます。

 

この練習ができるようになりましたら、ストロークの回数を数えながら練習して行きます。1掻き1蹴りで何mで浮き上がって残りの何メートルを何回で進んだかを確認しながら泳ぎます。娘を例にすると、2020年6月の段階で1掻き1蹴りで6.5m、残り18.5mを8ストロークで泳いでいるので1ストロークが2.31mということになります。選手登録前の2021年8月は1掻き1蹴りで8m、残り17mを6ストロークで泳いでいるので、2.83m進んでいるのがわかります。

つまり、1年で1ストロークが50cmも伸びているということになり、スカーリング、体重移動がうまくできるようになった事でキックでの推進力がより増したのだと感じています。

 

回数を数える意識をすると、「しっかり進みたい!」という欲が出てきます。意識せずともメリハリをつけてしっかり掻いて、しっかり伸びようとするので、練習の質の向上にも繋がりますので参考にしてください。

5. スイムで高いボディーポジションを意識する

これら2つのドリルを数回おこなった後は必ず平泳ぎのスイムを泳ぎます。この時に、ドリルの時と同じくらいボディポジションを高く保つ意識を継続してください。

初めのうちは、管理人も体を持ち上げるのに力がいりました。数百メートル泳ぐとさすがに前腕が疲れてきて、体が持ち上がらなくなった事を昨日のように覚えています。

体を持ち上げる方に意識を向ければいいので、スピードはそれほど重要ではありません。遅すぎるのはよくないですが、息切れは全くしない状態で先に腕(前腕)が疲れてきます。

ただ、疲れてきても力まずに体をできるだけ持ち上げるように意識して練習すると、スカーリングがうまくなり、無駄な力が抜けていつまでも同じ位置に体を持ち上げられるようになります。

力ずくではなく、スカーリングをうまく使った楽な泳ぎが習得できれば、フォームが固定され崩れにくくなります。管理人も1ヶ月泳げず筋力が落ちている状態でも5000m以上同じ泳ぎを続けられています。

また、大会参加を考えるようになった際もそこからうねりを少なくしてスカーリングを前に進む角度に変えて行けばいいですし、この時に筋力を付けて行けばいいので、とても理にかなった泳ぎであると考えています。

6. 娘の上達過程と練習距離

平泳ぎが泳げるようになった2019年4月〜2019年10月まではスイミングで1時間500m程度の練習、平泳ぎを習い始めたのが2019年11月で、2020年3月にスイミングを移籍するまで週3回1時間1000m程度の練習でした。

この1年はほとんど平泳ぎの上達せず、ストリームラインを作っている時の腰の位置も水面から20cmは下にありました。

移籍後のスイミングで1時間1500m程度週4回練習し月2回程度市民プールで2つのドリル練習を15〜20分程度おこなっていたという形になります。

2021年3月に選手コースに移り、それからは練習量も多くなりましたが、選手登録前(2021年8月)の泳ぎになったのはこの直前で、この時点でも腰の位置は水面上には出ておらず、やっと最近(2022年7月)になってストローク後にお尻が水面に上がるようになって来たところです。

このように、泳ぎの上達には時間がかかりますので、根気よく練習を続けて行きましょう!

Youtubeでも解説させていただいております。