Swimming.jp

背泳ぎ Technique

【水泳】泳ぎ方【背泳ぎ】軌跡から見る理想のストロークリズム

※最終更新日 2023年2月19日

今回は、背泳ぎの3Dアニメーションで全てのコマを表示し、その間隔を見ていただく事でストロークのリズムがどうなっているのかを解説していきたいと思います。

アニメーションを見ていただく前に、お断りしておきたいことがあるのですが、軌跡を表示できるアニメーションは一般スイマーに向けたもので、あまり肩が柔らかくなくてもできるような泳ぎになっています。

具体的には、アスリートであれば以下のアニメーションのように22コマ目の入水時、腕は平行になっている方が良かったりします。クロールのように入水をしてから肩が水の中に入っていく方が抵抗は少なく、うねりを利用できたりします。運動会の綱引きの綱を中心に合わせる時、綱にうねりを加えるとそのうねりが端まで届きますが、その動きに似ています。

簡単に言えば胸を伸ばして足を引っ張り上げてボディーポジションを高くしており、このうねりが足先に伝わる事でドルフィンキックのような強いキックができてしまいます。アスリートと言うのは体の柔らかさによってできる反動もうまく使っているわけです。ただし、これを体が固いまま意識し過ぎると上下動が大きくなったりするので、アスリートに近いくらいの綺麗な泳ぎになってから習得したいテクニックということになります。

背泳ぎの軌跡から見る理想のストロークリズム

以下のアニメーションの「軌跡を表示」ボタンをクリックすることでストロークの軌跡が表示されます。この軌跡を見ていただくと、右手の入水の1〜5コマ目までは手のひらが重なり、あまり動いていない事がお分かりになると思います。

7コマ目以降徐々に加速していき、フィニッシュ付近まで1コマの間隔が大きくなり加速が続いているのがわかると思います。

また、フィニッシュ後のリカバリーでも13〜17コマ目の幅が大きく、天井に向かうに従って徐々に遅くなっていきます。

つまり、フィニッシュからリカバリーまでの9〜17コマ目にかけてストロークスピードが速くなっており、綺麗な泳ぎに見えるストロークは前回解説させていただいた「ローリングを大きくしてもスムーズに腕を回す方法」での振り子の原理を利用したストロークになっているわけです。

また、上からのアニメーションを見ていただくと、7コマ目から肘が前方に残ったままストロークできていることがわかります。

肘を前方に残してストロークすることができると、前腕が進行方向に対して垂直である時間が長くなるので、腕の大きい範囲で水を捉えることができるようになるわけです。意外に皆さんの頭の中で「水泳は手の平で掻く」と思われている方が多いのではないかと思いますが、ストロークでハイエルボーが推奨される理由はここにあり、泳ぐ際に意識していただきたい部分であります。

プールで一般の方を観察していると、入水後に力一杯ストロークする方をよく見かけます。水のように固定されていないものを強く掻いてしまうと、車のタイヤがホイルスピンをするように、エネルギーばかりを使って前に進まず、その場に留まるような形になってしまいます。

例えば、氷の上に座っている状態で前に進むとします。その時、皆さんは氷を全力で後ろに押そうとしますでしょうか。滑らないギリギリのところで踏ん張りながら氷を押すはずです。

水泳のストロークも同じで、無理に後ろに押してしまうと水が後ろに流れてしまうので、その流れている水をさらに押すようなイメージになってしまうわけです。

なるべく水がその位置に留まるように後ろに押すわけですが、あまりにゆっくりでは遅くなりますし、その力加減が難しいので、何度も練習しなければなりません。

タイミングよくストロークできるドリル練習

少し話が逸れてしまいましたが、タイミングの良いストロークができやすいドリル練習を紹介します。といっても、皆さんもやったことのある練習であると思います。その練習を意識を変えておこなうことで、より効果的なドリル練習にしていきましょう。

以下のアニメーションは、回さない方の腕を気を付けした状態で泳ぐ片手回しです。この練習にメリハリをつけてみましょう。まず、手を前に伸ばした時には少しの間手をその場で止め、キックをしながら進みます。アニメーションではすぐに掻き始めていますが、10回程度キックを続けてから掻き始めます。短いよりは長い方が理想的です。キックを長くすることで、足が沈まずに体が水平を保つ事ができますが、もしここで足が沈んでいる場合は、キックが水面に上がってくるまで待って掻き始めます。その方が上達の速度も確実に早まります。

そこからストロークを始めますが、肩のラインを超えるまではゆっくりとストロークしキャッチの形を作ります。肩のラインを越え始めたらストロークを加速し、フィニッシュ後にリカバリーが天井に向かうまで加速し続けましょう。リカバリーが天井に達したら入水まで手をゆっくりと戻します。「それ意識しているよ!」という方もいらっしゃるとは思いますが、もっと極端な形でメリハリをつけてみて下さい。

ポイントとしては、
1. 前に手を伸ばしている時間を長くする事で体を水平にする。
2. フィニッシュに向けてストロークを加速してリカバリーの前半まで速度を落とさない。
3. リカバリーの途中から完全に力を抜く。(天井付近で腕をぶらぶらにできる状態。)
4. 片手ずつおこなう事でストロークが止まる時間を作り、リラックスできる時間を長くする。
5. 呼吸が浅くならないように、しっかり息を吸って吐いてする。

これらを意識することでフィニッシュでストロークを止めない「癖」がつくので、結果的にスイムに活きるドリル練習になってきます。

初心者の頃は、片手回しもずっと同じ速度でストロークすることで泳ぎの形を作りますが、レベルが上がってくると、同じ練習でもこのようにストロークスピードのメリハリをつけるなど練習の意味が違ってきます。

その練習の意味を理解してドリル練習をおこなうことが上達の秘訣になってきます。わからない事があれば、指導者にしっかりと聞いてみることが大切です。

Youtubeでも解説させていただいております。