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水泳の呼吸をマスターすれば、もっと泳ぎが楽しくなる!

※最終更新日 2023年4月15日

皆さんは4泳法を泳がれる時、どんな呼吸をされているでしょうか。水泳での呼吸は日常のそれとは違っていて、その呼吸法は特殊です。

結論としては、口から吸って鼻から吐くので、陸上での呼吸とは真逆になります。また、大きく息を吸い胸を張った状態を維持しながら吸って吐いてを繰り返します。では、どうしてそんな呼吸をしなければならないのかを詳しく見ていきましょう。

1. 腹式呼吸と胸式呼吸

以下のアニメーションは腹式呼吸と胸式呼吸の違いを表しています。簡単に説明すると、腹式呼吸は横隔膜が動きますが、胸式呼吸では横隔膜はほぼ動きません。(アニメーションの胸式呼吸は解説用にわかりやすいよう動きを大きくしています。通常は浅い呼吸のため、ここまで大きく肩は動きません。)

2. 水泳の呼吸方法とは?

水泳の呼吸法はどちらかというと腹式呼吸にはなるのですが、陸上でのそれとは少し違っています。

陸上では腹式、胸式どちらの呼吸でも、胸が膨らんだりしぼんだりします。この動きを水中で行うと「水圧」の影響で疲労してしまいます。一度、お風呂に浸かって運動時のような大きな呼吸をおこなってみてください。すぐに苦しくなる(疲れる)事がわかると思います。

ではどうするかですが、上級者を見ているとわかりますが、泳ぎはじめに息を大きく吸い胸がパンパンな状態の形を作ります。大きく息を吸う事で呼吸補助筋などを働かせて肋骨を挙上し続ける事で肺がしぼんでしまう事を防ぎ、「胸を張ったままの状態」を保ちます。

つまり、水泳の呼吸は、胸をずっと張った状態で口から息を大きく吸い、鼻から息を吐き切ります。

 

この「吐ききった状態」から胸の張りを緩めるとまだ肺に残っている空気を吐き出す事ができる事に気づきます。胸を張っていると、結果、完全には息を吐ききれず肺に半分程空気が残っているような状態を作る事ができるわけです。

この方法で呼吸をすることで、鼻に水が入ってきても反射的に胸の張りを緩めて息を吐き出しやすくなりますし、浮力によって身体も高い位置を保てます。もし、ターン前の呼吸で水を飲んでしまい息を吸えなかったとしても、なんとか5m程度までなら息を吐き続けることができるので止まらずに泳ぎ続ける事も可能です。(一般の方は水を飲んだら無理せず止まって呼吸をしましょう。)

この水泳独特の呼吸は慣れるまで時間がかかりますが、水圧に影響される事なく呼吸を行う事ができるようになりますので、まずは水中ウォーキングから取り入れて少しずつ慣れていっていただければと思います。

3. 水泳選手が胸板が厚い訳

これは余談ですが、水泳選手はどうして胸板が厚いんでしょうか。それは上記のような呼吸法が少なからず影響していると思います。選手はだいたい週6回6000m〜10000mを普通に練習します。それを成長期に長い間おこなえば、必然的に大きくなるように思います。

肺活量も多いとよく聞きますが、管理人自身は一般の方とあまり変わりはありませんでした。以前、水泳選手は呼吸時の最大酸素摂取量が大きいという記事を見たことがあるのですが、それは水泳をしている人でいつも肺を大きく膨らませている人とスポーツしない猫背で肺がいつも萎んでしまっている人の差なのかもしれません。(ただし、これらは実証されたものではなく、管理人の想像です。笑)

最大酸素摂取量は健康のバロメーターにもなるという事なので、水泳で健康寿命を伸ばして行きましょう。

※最大酸素摂取量=個人が摂取できる単位時間当たりの酸素摂取量の最大値

健康長寿ネット – 最大酸素摂取量が健康のバロメーター
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/kenkou-undou/kenkou-hyouka.html

4. まとめ

水泳の呼吸法は

  • ① 口から吸って鼻から吐く。
  • ② 大きく息を吸って胸をパンパンにしてスタートする。
  • ③ 胸を張った状態をキープして最後まで息を吐く。

この3点に気を付けながら、おこないましょう。

初めのうちは水中ウォーキングから始めていただき、最終的には胸が水面より沈んでいくように、少しずつ大股で歩くよう段階的に進めて行きましょう。この状態で呼吸することで、水圧を受けながら正しい呼吸法を身につけることができます。

水泳の呼吸法をマスターすると、肋骨が持ち上がった状態を維持できるようになります。その結果、腹筋に自然な力が入り、腰痛を予防する効果も期待できます。この感覚を忘れずに泳ぐことで、どの種目でも正しい姿勢を維持する事に繋がり、水泳初心者にとっては上達の一助になりますので、最初の段階で呼吸法を身につけることが重要です。