ゆったり綺麗なクロールの泳ぎ方

クロールの理想の泳ぎをアニメーションで再現しています。ここでは綺麗に泳ぐためのポイントを絞って解説していきます。詳しく知りたい項目があれば、下階層で細かい解説をしていきますので、そちらをご覧ください。

1. ストリームラインをしっかり作る
2. ストロークは大きく
3. キックはできるだけ打たない
4. 呼吸は水面ギリギリで

<1. ストリームラインをしっかり作る>

ストリームラインとは水に浮いている体が水面と平行に浮くことを言います。人間は肺の浮き袋があり、足が軽いので浮きやすく、重力によって腰だけが沈んでしまいます。腹筋に力を入れて若干腰を浮かして泳ぐことでストリームラインを綺麗に作ることができます。(11コマ、23コマ、35コマ、47コマ、59コマ、71コマのように。)

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<2. ストロークは大きく>

ビギナーの方が陥りやすい点として「掻くことばかり考えてしまう」という傾向があります。上級者は水面を滑るように移動しますが、ビギナーの方は掻こう掻こうとピッチが早くなります。これはスケートに例えるとわかりやすいと思いますが、上級者は片足に長く乗ってスピードが落ちるのを待ってから反対側の足に乗っていきます。逆にビギナーの方はペンギンのように歩いてしまいますね。

以下はストロークの「掻き」と「グライド(伸び)」のコマ数を表にしたものです。

グライド(左)
掻き(左)
グライド(右)
掻き(右)
8〜18
19〜25
20〜30
7〜13
32〜42
43〜49
44〜54
31〜37
56〜66
67〜72(1)
68〜6
55〜61
数字はコマ数。1ストロークは24コマ

掻いている時間はワンストローク24コマ中6コマ、対して手を前に伸ばしてグライドいる時間は10コマと、掻いている時間がとても少ないことがわかると思います。(残り8コマはリカバリー動作です。)

たぶん皆さんは「右手の4〜6コマも掻いてるのでは?」と思われるかもしれません。たしかに掻いてもいるのですが、伸びの意識の方が強いんです。なるべく遠くの水を掴むために1〜6コマ目までは手を伸ばした時の筋肉の張りが(前腕、上腕共に)変わりません。4〜6コマは水を包み込んで「掻きの準備をする」意識をもっていただければと思います。

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<3. キックはできるだけ打たない>

アニメーションはあくまで理想の泳ぎですので、まずはキックはゆったりと体のバランスを取ることができればそれだけでかまいません。推進力はキック上級者でも7:3(ストローク:キック)と言われています。

以下の表を見るとわかるのですが、脚は腕の3倍以上の筋肉量があります。つまり腕と同じくらいのエネルギーを使ったとすると、それだけで3倍疲れてしまうわけです。もちろんエネルギーを使うということは酸素を使いますから、余分なエネルギーロス(無酸素運動への移行)に繋がり安いのは一目瞭然です。

筋肉量の平均値(BMI24.9以下の方)
 
女性
男性
全体
14.0kg
22.0kg
0.9kg
1.5kg
3.5kg
5.5kg
(大和製衡株式会社調べ)

ではどれだけキック力があればいいかという事ですが、50mを10回70秒サークルで全て45秒程度で泳ぐことができるのが目安だと考えています。よくキックを頑張って泳がせる先生がいますが、それはこの位のキック力をつけるための練習をしていると考えていただければと思います。

そもそも、競技(マスターズ)大会に出ることがほとんどの方は目的ではないはずです。健康のためであるならば、有酸素運動をおこなうため、また競技大会に出場する方でも忙しく練習時間を取るのが難しい方は、ストローク優位の泳ぎを極める練習する方が効率的と考えます。

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<4. 呼吸は水面ギリギリで>

ビギナーの方は無意識に体を持ち上げて呼吸をしようとするため、10、47コマ目の時に伸ばしている腕が水を下に押してしまい手が落ちてしまいがちです。しっかりローリングをしていれば、体は横を向いているので、少し顔を天井に向けるだけで呼吸ができます。また、手が下がるのは軸がずれているということでもあります。

しっかりグライドの手を同じ場所に維持することで姿勢の矯正にもなります。呼吸はビギナーの時期についた癖がずっと抜けないということが非常に多いです。そうならないためにも日頃から意識して練習することが大切です。

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